想いの記 ─住職の本音・本心・本気─ 托鉢で始めたお寺です。皆さんと共に「この世の幸せとあの世の安心」のために、学び、実践しましょう。

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NHK文化講座「生活と仏法」講義録 44 ―五戒─ 06:30
 前回までに「穢れて生きる人」と「清らかに生きる人」について学びました。
 釈尊は、次いで、不殺生(フセッショウ)などの「五戒」を明らかにされました。
 この戒律は、今でもご葬儀において、引導を渡す前に戒名と共にお授けするとても重要なものです。
 
 3月10日、NHK文化講座で共に学んだ『法句経(ダンマパダ)』の「塵垢品(ジンクホン)第二十六」です。

「愚人(グニン)は殺(セツ)を好み、言(コトバ)に誠実(ジョウジツ)無く、与えざるを取り、好んで人の婦(フ)を犯し、心を逞しくして戒を犯し、酒に迷惑す。
 斯(コノ)人世世(ヨヨ)に、自ら身の本(モト)を掘る」


(愚か者はむやみに生きものを殺し、言葉にまことがなく、自分へ与えられていないものを奪い取り、好んで邪淫を行い、心を恣(ホシイママ)にして戒律を犯し、酒を呑んでは迷い惑う。
 このような者は、いつの世にも人間として生きるための根本を破壊する)

「人如(モ)し是(コレ)を覚らば、当(マサ)に悪を念ずべからず。
 愚なれば非法に近づき、久しく自ら焼没(ショウモツ)す」


(これを覚ったならば、悪しきことを心に抱いてはならない。
 愚かであっては真実の生き方から離れて放逸になり、自分を永久に苦の火で焼き滅ぼすであろう)

 前の句は、「不殺生(フセッショウ)、不偸盗(フチュウトウ)、不邪淫(フジャイン)、不妄語(フモウゴ)、不飲酒(フオンジュ)」の五戒になっています。
 最後に「酒に呑まれてはならない」と説かれているのは、それが「不綺語(フキゴ)、不悪口(フアック)、不両舌(フリョウゼツ)、不慳貪(フケンドン)、不瞋恚(フシンニ)、不邪見(フジャケン)」という十善戒における残りの6つを犯してしまいがちだからです。
 酔っぱらった様子を想像してみましょう。
 不要な飾り言葉を用いたり、粗暴な言葉づかいになったり、仲違いさせるような話をしたり、潰れるまで杯を離さなかったり、勝手に怒り出したり、つまらぬ考えに陥ったりはしないでしょうか。
 また、呑んでバカなことをやったばかりに一生を棒に振る場合すらあります。
 ある恩師が学歴も頭脳も授業の緻密さも、そして淡々と続ける講義の雰囲気も抜群で、「どうして年齢に不足ないこれほど優秀な方が校長先生にならないのだろう」と不思議に思ったことがありました。
 後に漏れ聞いたところによると、昔、先生は「無礼講」とされた宴会で校長か教育長に馬乗りになり、「はいしどうどう」をやったそうです。
 もちろん、出世が最高の価値とは言えませんが、酒は実に、迷惑させるものであると心得ておく必要があります。
「父母恩重経(ブモオンジュウキョウ)」も、こんなふうに説いています。
「いかに衣食住に満たされた暮らしをさせたとしても、仏法に帰依させない限り本当の親孝行ではない。
 もしも親が酒に呑まれて愚かしいことを行ったならば、すべてを失わせてしまうではないか」

 ところで「身の本(モト)を掘る」とは恐ろしい言葉です。
 人間として依って立つところのものを掘り崩してしまうというのですから、凄まじいイメージです。
 人間が人間として生きるためには、自分を自分でコントロールせねばなりまません。
 放逸なままでは、心も体も二本足できちんと立ってはいられなくなるのです。
 酔いつぶれて足を取られ、何を言っているのか解らない状態を想像してみれば、「そのままで生きられない」ことは明らかです。

 後の句もまた衝撃的な表現で放逸を戒めています。
 自分を永久に「焼没(ショウモツ)」させるとは何という恐ろしい指摘でしょうか。
 それはまるで速水御舟(ハヤミギョシュウ)の傑作「炎舞」における蝶のようです。
 心して生きましょう。

〈山種美術館さんの「作品紹介」からお借りしました〉
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「のうまく さんまんだ ぼだなん あびらうんけん」※今日の守本尊大日如来様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。

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| 【解説】この世の幸せ | - | - | posted by 住職 遠藤龍地
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